離婚時の慰謝料は精神的苦痛を償うために支払われるもの
離婚の時によく慰謝料って言うけど、慰謝料って何なの?
離婚時の慰謝料とは、相手が行った言動によって精神的苦痛を受けた場合に、気持ちを慰めるためにもらうことができるお金のこと。
離婚すれば必ずもらえるものなの?
違うわよ。
浮気や暴力行為などがあった場合に請求できるものなの。
これらは法的に禁止されていることであって、不法行為と呼ばれているものだよ。
じゃあ、性格の不一致では支払われないということか。
そういうこと。
性格の不一致に違法性はないからね。
このような場合は双方に慰謝料は発生しないの。
慰謝料を放棄するな
離婚に向けて行動を起こしていると、とにかく早く離婚することだけを考えて「慰謝料なんていらないから早く別れて」と言ってしまうケースがあります。
一度そのようなことを言ってしまうと、後で落ち着いたときにやっぱりもらっておけばよかったと思っても、相手が支払いに応じてくれないことが予想されます。
離婚というただでさえ精神的にきつい時期に、慰謝料の話し合いで一層嫌な思いをしてしまうこともありますが、正当な権利ですのできちんと支払ってもらいましょう。
慰謝料の時効は3年
慰謝料は、協議離婚であれば双方で話し合って金額を決めます。
協議離婚が合意に至らなければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、調停の場で話し合って決めます。
調停も不成立であれば裁判を起こして争うことが出来ます。
離婚が成立した後からでも請求できますが、離婚原因となった行為(例:浮気)や相手を知ったときから3年間で時効が成立しますので注意してください。
- 浮気
- 悪意の遺棄
- DV
- 生活費を渡さない
- 性行為拒否
- ギャンブルなどの浪費
- アルコール依存 等
<慰謝料の請求は不可>
- 性格の不一致
- 重度の精神病
- 相手親族との不和
- 宗教上の対立 等
慰謝料の支払いは分割でもOK
双方が合意している場合や相手に資力がない場合には、慰謝料は分割払いでもかまいません。
しかし、分割払いだと途中から支払われなくなるリスクがあります。
よって、分割払いにする場合は初回の支払金額を多く設定し、支払期間を短くするようにしましょう。
慰謝料の相場は離婚理由によって異なる
慰謝料については養育費のように算定表はありませんが、過去の事例からおおよその相場が形成されています。
離婚理由 | 金額(万円) |
---|---|
浮気
|
100~500
|
DV
|
50~500
|
悪意の遺棄
|
50~300
|
性行為の拒否
|
100~300
|
離婚協議で慰謝料の支払いを求める
協議離婚であれば、双方で話し合って納得した金額となります。
協議離婚の場合は、慰謝料の金額だけではなく支払い方法や支払期限も決めておき、公証役場に行って公正証書を作成しておきましょう。
一度約束したものの実際には支払われないというケースも珍しくはないため、支払われない場合に備えて強制執行認諾の約款をつけておけば安心です(公正証書作成については下記記事に手順を示しています)。
離婚調停や離婚裁判で慰謝料の支払いを求める
- 慰謝料の金額は相手の行為の非の内容が最も重視される
- 相手が非を認めないときは自分が証明しなくてはならない
離婚調停や離婚裁判で慰謝料を請求するときにも請求金額は自由に決めることが出来ますが、実際に認められる金額は上記表の範囲内であることが一般的です。
なお、慰謝料の金額を決める際には様々な要素があり、自身の精神的ダメージの大きさよりも相手にどれだけの非があるかということが重視される傾向にあります。
慰謝料という名目ではありますが精神的ダメージが全くない場合でも慰謝料は請求可能であり、金額は相手側の行為の内容が重要ということに留意してください。
- 相手の行為は自分が証明する
- 自身にも非があれば減額される
例えば、相手が浮気している場合、相手がそれを認めない場合はこちらが証明しなくてはなりません。
証明できなければ慰謝料が全く認められないこともあります。
例えば、妻が浮気した場合でも、夫側が先にDVなどをしていれば夫は慰謝料を得ることは難しいでしょう。
この考えは交通事故の過失相殺と同じであり、一方だけではなく両方の事情を考慮に入れて慰謝料が決められます。
慰謝料の計算に影響を与える要因
慰謝料の計算には相手の非の内容が重視されることは上述した通りですが、それだけで慰謝料が算定されるわけではありません。
慰謝料の計算には以下の内容が考慮されます。
1.相手の非
- 不法行為の内容・度合い
- 離婚理由
- 動機
浮気やDVなど、どのくらいの頻度でどの程度の内容であったか
5つの離婚理由のどれにあてはまるか
離婚理由となる行為を行った理由(行為を受けた側にも過失があるか)
2.自身の受けた損害
- 実際の被害
- 精神的苦痛の大きさ
- 動機
体や生活にどのような影響が出たか
相手の行為によってどの程度の精神的苦痛を受けたか
離婚理由となる行為を行った理由(行為を受けた側にも過失があるか)
3.経済状況
- 夫婦の資産
- 離婚後の生活費
- 結婚期間・別居期間
- 年齢・職業・社会的地位
どのくらいの慰謝料を支払えるか
生活していくためにどのくらいの費用が必要か
苦痛を与えた期間も考慮され、長ければ慰謝料も増額する
現在の社会的な立場にふさわしい慰謝料はどのくらいか
浮気相手にも慰謝料を払ってもらえる?
結論から述べると、配偶者の浮気相手にも慰謝料を請求できます。
しかし、無条件に支払いが認められるわけではありません。
浮気相手に支払いが認められるための条件は、「既婚者であると知っていたこと」「性的関係をもったこと」の2点が必要です。
浮気相手が認めない限り、この2点をこちら側が証明しなくてはならないのですが、後者は探偵などを使えばさほど立証のハードルは高くありません。
しかし、前者は立証が容易ではありませんので、どのように証拠を得るかよく考える必要があります。
また、配偶者が浮気相手に対し独身と偽っていた場合には慰謝料を請求できないことも覚えておきましょう。
なお、配偶者と離婚しない場合でも浮気相手に慰謝料を請求することが出来ます。
性格の不一致では慰謝料は発生しない
浮気やDVであれば相手に非があることは明確ですが、性格の不一致で離婚に至る場合にはどちらかが悪いということではないので、双方に慰謝料は発生しません。
「相手の異常性格」の場合には正当な離婚理由になり、慰謝料が発生するケースもありますが、立証は容易ではありません。
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